2016年6月30日木曜日

羽毛リフォーム リフォーム工程編

先日のブログで、羽毛ふとんを預かって、

リフォーム工場に出すまでをご紹介しましたが、

本日はその続きで、リフォーム工場でのお話になります。


先日、羽毛リフォーム工場に訪問いたしました。

ここに来るのも、もう何回目になるでしょう。

でも今回は、自分で診断した羽毛ふとんのリフォームを

見るので、初めての体験です。

工場の大関さんからいろいろ教えてもらいながら

拝見させていただきました。




先日お預かりした羽毛ふとんです。



ガムテープで止めてあるところは生地が裂けて羽毛が噴き出ていたところです。

まず、大関さんは羽毛ふとんを個別に認識するための布(写真の右側)を取り付けます。

そして、生地を被った状態の重さを測っておきます。(羽毛の量、目減り量を調べるため)

ここで、本来は一旦順番ごとに作業するため、よけておくのですが、

今回は特別にすぐに作業してもらいました。


初めの作業は「解体」です。

羽毛ふとんをこの箱の中に吊るします。



この箱は優れものです。

この下は奥の「除塵機」にパイプでつながっていて

下に落ちた羽毛が吸い込まれて除塵機に運ばれます。


解体作業はこんな感じ

中央の溝に羽毛が吸い込まれていきます。


大関さんのお話では、この時点で羽毛の落下を見て

羽毛の回復率や目減りがわかるそうです。

玉ダウンやピリング(汗などを吸って羽毛が丸まる状態)が多いと早く落ちて、

ファイバー(羽毛の先が切れて細かくなったもの)が多いと舞ってしまうそうです。


羽毛を全部取り終わったら、生地の重さを測ります。

先ほど測ったふとんの重さから引けば、どれくらいの羽毛が入っていたか分かります。

今回は約1.2㎏。お預かりした時にラベルが真っ白になっていて分からなかったので、

大体の重さを推測していましたが、予想の範囲内でした。

大関さんのお話によると、ラベルの重さと実際の重さが違うことはよくあるそうです。

なので、ここできちんと正確な重さを測っておくそうです。



次に羽毛が向かう除塵機がこれ




扉を開けた中の様子がコレ






暖かい羽毛ふとんには邪魔なファイバーを取り去ります。




除塵の様子です。




細かい穴の隙間からファイバーが出てきます。

ファイバーが多い羽毛の場合は真っ白になって視界が無くなるそうですが

この羽毛は状態が良いそうです。

そういえば、お預かりしたとき、良くお日様に干していると言われたな。



除塵が終わると今度は洗浄です。

ここもパイプで洗濯機に移動します。




洗浄は40℃のぬるま湯でほんの少しの洗剤を混ぜて洗います。

ここで羽毛を傷めずに汚れを落とす、一番良い状況を作ります。




写真のように羽毛をそのままで洗うのが「プレミアムダウンウォッシュ」です。

羽毛をそのままで洗う良さを、今回大関さんから改めて教えていただきました。

上の写真でもわかると思いますが、洗い始めの時は

羽毛が丸まって玉になっているところが目立ちますが、(ツブツブした感じ)

洗浄が進むにつれてその玉がほぐれていくのが確認できるとのことです。


それが、下の写真


ガラス部分に張り付いてくる羽毛が初めは玉玉でしたが、

だんだんとほぐれた羽毛が張り付いてきました。

脱水が終わった羽毛はこんな感じ


ぺったんこになっています。

取り出してみると

とってもかわいそうな感じですが

この後、乾燥機にかけて、冷却、除塵をすると、

ふっくらと膨らみます。 (この工程は機械の中で羽毛の状態をお見せすることができません)

乾燥機

洗浄された羽毛はここで、くるくる回転しながら乾燥していきます。

袋詰めで乾燥させないので羽毛がふっくらと仕上がってきます。

スチーム除塵コースのリフォームの場合は、除塵の後

洗濯機の部分を飛ばしてここに運ばれます。

乾いている羽毛が運ばれてくるので、スチームをかけながら

羽毛のパワーアップをはかります。後はプレミアムダウンウォッシュコースと同じです。



一瞬だけ移動中の羽毛を見れます。




冷却・除塵




そして、できてきた羽毛が下の写真です。



ご覧のように、フックラしてきました。匂いもございません。



羽毛の一つ一つがしっかりと開いています。


この後計量して、目減りを測定します。

今回の目減りは200g。僕の予想では300gの目減りで

減った分をエクセルグース羽毛を足す指示書を出しておりました。

いつもなら指示書と違う内容だと、ここで、大関さんから電話があり、

どうしましょう。と言われるのですが、

今回は目の前にいるので、その場で相談。

「預かったとき羽毛が噴き出ていたからね、その分減っていたかも」

「1,3Kならこのクラスの羽毛は標準の量だね」

「今までの生地が絹交でふくらみが良かったからね」

「また、10年使うこと考えるとある程度入っていた方がいいかな」

などと相談の結果、300g足して1.3㎏に仕上げることに決定しました。


そのあと、羽毛の充填に入ります。

しかし、今回は時間がなかったため、この羽毛の吹き込みには立ち会えませんでした。

だけど、この羽毛を洗浄中に、店売り用の新規羽毛の充填の作業をしていただいたので

その模様の写真を掲載します。生地の柄が違うだけでやっていることは同じです。




まずは、ハカリの中に羽毛を入れます。

言い忘れましたfが、この箱がハカリになっています。





ちなみに目盛はこれ、


目盛の横に張ってある紙は、生地のどの枡にどの目盛りまで入れればいいかを

書いてある紙です。



とても精度が良くて、人が横を通るとメモリが動く位なので、

窓開けての作業は絶対できないそうです。

ちなみに今回は新品の羽毛ふとんなので、こんな羽毛。



やっぱり、新品の方がふっくらしているね。


このあと、リフォームの場合は洗浄した羽毛と、足した羽毛を撹拌します。



ここでもう少し、羽毛充填機の説明を



手前の箱は羽毛のハカリです。

蛇腹のホースを伝って、右上の透明のアクリル板に通りくるくる回って、そして羽の軸などの

入ってはいけないものを落とします。

そして、左側の銀色の吹き出し口から羽毛を生地に入れます。



羽毛ふとんのマスは、通常、縦1列はあの銀色の吹き出し口の入る分だけ繋がっています。
(ダウンキープキルトを除く)

その隙間を慎重に探しながら、奥の方から羽毛を入れていきます。

大関さんはこの時、左手吹き出し口を抑えながら、ハカリの目盛を真剣に見ながら

右手で羽毛を少しづつ入れていきます。紙に書いてある目盛になるとひょいとホースを挙げて

ぴっちり、指示通りのグラムを入れていきます。職人技を見せていただきました。



大関さんから伺った「こだわり」がここにもあります。

体の当たる中央部は微妙にグラムを増やしているそうです。

使う人のことを考えて、人知れずやっていたのね。


最後に入れ口をミシンで縫って検針機にとおして出来上がりです。

検針機(金属探知機)




このような感じで出来上がった羽毛ふとんがコレです。


もう、新品ですね。




お預かりする羽毛ふとんは1枚1枚違います。

同じ時、同じ店で買ったものでも、使う人が違えば羽毛の状態は変わります。

使う人が変わればリフォームも変えた方が良いと考えます。


幸いなことに当店は、今回ご紹介した通り、お客様のご要望に応えられる

スタッフに恵まれております。

なんなりとご相談くださいませ。

当店ホームページ



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